コラム

障害年金とは?

国民年金、厚生年金などの公的年金については、法律上、「老齢」、「障害」、「死亡」を年金の支給事由としています。したがって、病気や事故などが原因で障害を負った方は障害年金を請求することができます。

また、一般的に障害年金という言葉から身体の障害を思い浮かべる方が多いと思いますが、障害年金の支給対象となる障害の範囲は広く、うつ病などの精神疾患、がん、糖尿病などでも受給できる可能性があります。お子さんの発達障害、知的障害についても20歳になってから受給できる場合があります。

なお、障害年金は市区町村で申請する“障害者手帳”とはまったく別の制度です。手帳を持っていても障害年金が認められない方はいますし、手帳を持っていなくても障害年金を受給できる方もいます。

 


障害年金受給のための3つの要件

要件①初診日要件

障害の原因となった病気やケガで初めて医師等の診療を受けた日に公的年金に加入していたこと。(20歳以上60歳未満)なお、20歳前や60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間)で、日本国内に住んでいる間に初診日があるときを含みます。

要件➁保険料納付要件

初診日の前日まで、保険料納付済期間及び保険料免除期間が一定期間以上あること。(“20歳前の傷病による障害基礎年金”については、初診日が20歳前にあることが要件となります。この場合、公的年金に加入前の年齢なので、保険料納付要件は問われません。)

要件③障害状態要件

障害認定日(原則、初診日から1年6カ月を経過した日)に障害等級に該当していること。

障害基礎年金 20歳前の傷病による障害基礎年金
要件①初診日要件 初診日において以下の要件に該当していること。

  • 国民年金の被保険者※
  • 日本に住んでいる60歳以上65歳未満の人
  • 20歳未満の人

※初診日において厚生年金の被保険者である場合、障害厚生年金の受給対象者になります。

20歳前に初診日があること。
要件➁保険料納付要件 下記のどちらかを満たしていること。

  • 初診日の前日において初診日の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること。
  • 令和8年3月末までに初診日があり、かつ65歳未満の人は、初診日の前日において初診日の前々月までの直近1年間に未納期間がないこと。
不要
要件③障害状態要件 障害認定日において障害等級※1級または2級に該当※していること。

※障害認定日において障害の状態になかった場合においても、その後、重症化し障害等級に該当した場合、そこから障害年金を受給できる。(事後重症)
※障害厚生年金には1級、2級のほか3級、障害手当金がある。

同左

初診日から1年6カ月経過した日が20歳前の場合は20歳に達した日が障害認定日になる。

 


ポイント

  • 原則、20歳以上65歳未満の方が請求できる。
  • ペースメーカーや人工関節を体に入れた方、人工透析を受けている方、うつ病などの精神疾患のある方など、支給対象者は幅広く決められています。

【対象となる傷病一覧】

ブドウ膜炎、緑内障(ベージェット病によるもの含む)、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、眼球はく離、腎性網膜症、糖尿病網膜症
聴覚、平衡機能 感音声難聴、突発性難聴、神経症難聴、メニエール病、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害、毒物中毒による内耳障害
鼻腔 外傷性鼻科疾患
口腔(そしゃく言語)言語 上顎癌、上顎腫瘍、咽頭腫瘍、咽頭全摘出手術、失語症、脳血栓(言語)など
肢体の障害 事故によるケガ(人工骨頭など)、骨折、変形性股関節症、肺髄性小児麻痺、脳性麻痺脊柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、ポストポリオ症候群
精神障害 うつ病、そううつ病、統合失調症、適応障害、老年および初老による痴呆全般、てんかん、知的障害、発達障害、アスペルガー症候群、高次脳機能障害、アルツハイマー病など
呼吸器疾患 気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、膿胸、肺線維症、肺気腫、呼吸不全など
循環器疾患 心筋梗塞、心筋症、冠状僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、先天性疾患など
腎疾患 慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など
肝疾患 肝炎、肝硬変、肝がんなど
糖尿病 糖尿病(難治性含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など糖尿病性と明示された全ての合併症
血液 再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ種、多発性骨髄膜、骨髄異形性症候群、HIV感染症
その他 人工肛門、人工膀胱、尿路変更、クローン病、潰瘍性大腸炎、化学物質過敏症、周期性好中球減少症、乳癌・子宮頸癌・膀胱癌・直腸癌等の癌全般、悪性新生物、脳髄液減少症、悪性高血圧、その他難病

 


障害年金は、老齢年金に比べると認定基準などが複雑で請求手続きにも専門知識が必要です。また、一度出た決定を覆すことは専門家にとっても難しい場合が多くあります。そこで、障害が原因で生活や仕事に困難を抱えておられる方が、もらえるお金なのにもらっていないなどの損をされることがないように、早めに専門家へご相談いただくことをお勧めします。