コラム

2025年度最低賃金の大幅引き上げと助成金活用のポイント

最低賃金の引き上げ概要

厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会(2025年8月4日開催)は、2025年度の最低賃金の目安を全国加重平均で時給1,118円とすることを答申しました。これは現在の1,055円から63円の引き上げとなり、過去最大の増加幅です。伸び率は6.0%と、2024年度の5.0%を上回る水準で、23年連続の引き上げとなります。

この目安が実現すれば、全ての都道府県で最低賃金が1,000円を超えることになります。審議は44年ぶりに7回目までもつれ込み、労働者の生計費、世間一般の賃金水準、企業の支払い能力を総合的に考慮した結果です。特に、春季労使交渉での賃上げ率(連合集計で平均5.25%)や、食料・光熱費などの物価高騰(基礎的支出項目で平均5.0%上昇、食料で6.4%上昇)が背景にあります。

今後、各都道府県の審議会で実際の引き上げ額が決定されますが、政府は2020年代に全国平均1,500円を目指す目標を掲げており、年平均7.3%の伸びが必要とされています。ただし、今回の6.0%はそれに届かない水準です。

企業への影響と対策の必要性

この大幅引き上げは、特に中小企業や人手不足が深刻な業種(飲食店、運送業、建設業など)に影響を及ぼします。最低賃金で働く労働者が多い場合、人件費の上昇が経営を圧迫する可能性があります。一方で、賃上げの動きは大企業から中小企業へ広がっており、適切な対策を講じることで競争力の強化につながるチャンスでもあります。

最低賃金は助成金の請求タイミングを考える上で大変重要

最低賃金の引き上げは、単なるコスト増ではなく、助成金の活用チャンスを生む側面もあります。例えば、業務改善助成金やキャリアアップ助成金などの雇用関連助成金では、賃金の引き上げが要件または助成額の加算となる場合が多くあります。最低賃金が上がる前に、社内の賃金体系を見直し、助成金の申請をタイミングよく行うことで、最大限の支援を受けられる可能性が高まります。

ご相談のおすすめ

最低賃金近傍(広島県の場合、時給1,020円~1,070円)で従業員を雇用している事業者の方は、特に10月の賃上げ前に助成金等の活用を考える絶好のタイミングです。業務改善助成金などの活用により、最低賃金引き上げと連動した設備投資で、生産性向上を実現できる可能性があります。
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