コラム

お得な運用?“付加年金”について

最近の株式や外国為替市場の混乱を受け、すっかり投資意欲を失くされている方や、反対に数十年に一度あるかないかの絶好の買い場とばかりに着々と資金を投入されている方など、色々な方がいらっしゃると思います。このような混沌とした環境下だからこそ敢えて考えてみたいのが、金融動向に左右されにくい最善の資産運用方法です。私はずばり“付加年金”がその一つだと思っています。

付加年金は60歳に達するまで毎月付加保険料を納めると、65歳から老齢基礎年金に上乗せして支給されます。(老齢基礎年金とともに繰上げ・繰下げ可能)

年金額の計算式がとてもシンプルで収支を簡単にシミュレーションすることができます。

付加年金
【計算式】

収入:年金額(付加年金分)=200円×付加保険料納付月数
支出:付加保険料=400円(月額)

年金額(付加年金分)は総支払付加保険料の1/2のため、年金受給開始後2年で付加保険料の総支払額を全額回収でき、それ以降受給する付加年金は“丸儲け”という大変お得な制度です。

【シミュレーション】

40歳ちょうどで国民年金第一号被保険者となり付加保険料を60歳まで納付し(支払期間20年)、65歳で老齢基礎年金の受給を開始し85歳で死亡した場合。(受給期間20年)

◎年金額(付加年金分)
200円×240カ月(20年)=48,000円(1カ月当たり4,000円)

◎付加保険料の総支払額
400円×240カ月(20年)=96,000円

◎付加年金の生涯収支

総収入:48,000円×20年=960,000円
総収入960,000円―総支出96,000=利益864,000円

【デメリット】
最善の運用方法と申し上げましたが、下記のようなデメリットもあります。

  • 国民年金保険の第一号被保険者(自営業者等)のみを対象とする制度である。
  • 少額しか掛けられない。(付加保険料は400円固定)
  • インフレ(物価上昇)リスクに対応できない。
  • 長く受給するほどお得な制度であり、裏返して言えば早期死亡リスクがある。
  • 国民年金基金と併用できない。(iDeCoとは併用可能)

付加年金自体は老後の安定した生活を支える資金としてはあまりに少額です。しかしながら、支出の方も毎月400円と少額であり、それでもって老後に1カ月当たり数千円(上記の例だと4,000円)のお小遣いが一生振込まれる訳ですから、くどいようですが大変お得な制度だと思います。